明治の超絶技巧を見たいなら、清水三年坂美術館へGO!

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清水三年坂美術館とは

清水三年坂美術館1

清水三年坂美術館は清水寺門前の産寧坂にある私立美術館です。
幕末から明治時代にかけての漆工、金工、陶磁器、七宝などの優れた伝統美術工芸品を、およそ1万点所蔵しており、このうちの一部が展示されています。

設立者で初代館長は、村田理如(むらたまさゆき)氏。
清水三年坂美術館の設立までのいきさつが公式サイトに紹介されていました。

村田製作所創業者、村田昭氏の実子で同社元役員だった彼は、ニューヨーク出張でたまたま入ったアンティークモールのショーウィンドウで運命的な出会いをします。

目に飛び込んできたのは幕末から明治にかけて日本で作られた美しい印籠。
店内には同時期の日本の美術品の数々が並べられていたそうです。

惹かれるままに2つの印籠を購入し、ホテルで何度も繰り返し眺めては
「これほど美しく繊細な美術品がこの世にあったのか」
という感動を覚えずにはいられませんでした。

以来、ニューヨークやロンドンなどに行くたびに、この時代の日本の美術品を購入するようになりました。

やがて、収集品が多くなっていくのとは裏腹に、ゆっくり収集品を眺めている時間がないほど仕事が忙しくなったことに違和感を覚え、「会社を辞めてしまえば好きな美術品をいくらでも眺められるし、好きな時に海外に買い付けにも行ける!」と考えて、平成11年に退職。
この清水三年坂美術館の設立準備を始めたのだそうです。

清水三年坂美術館が特別な美術館である理由

創立者である村田氏が心奪われたという幕末から明治の伝統美術工芸品は、日本の美術史上でもとても高い水準の作品が作られていたにもかかわらず、残念ながらその作品のほとんどが日本国内に残っていません。

清水三年坂美術館は、幕末、明治の金工、七宝、蒔絵、薩摩焼を常設展示する日本で初めての美術館なのです。

当時の歴史的な背景を知ることで、清水三年坂美術館がいかに特別な美術館であるかが理解できるのではないかと思います。

江戸時代末期

江戸時代は戦もなく長い平安が続きました。
幕末当時の将軍家や大名、商人など財力のある人たちにとって、刀装金具や印籠などは、もはや実用品としてではなく、お洒落を演出する粋な小道具でもありました。
お抱え絵師や金工師が腕を競い、贅を尽くした装飾技術はとても高度な水準に発達していました。

印籠
「裏白地正月玩具蒔絵印籠/松寿斎」出展:清水三年坂美術館

明治維新

日本は積極的に西洋文化を取り入れ、産業の遅れを取り戻すために国を挙げて様々な政策がとられました。

優れた技術を持つお抱え技師たちの失業対策と殖産興業政策により、外国人が好みそうな作品を彼らに作らせ、輸出による外貨獲得をはかったのです。
そのため、優れた多くの伝統美術工芸品が海外に渡りました。

一方では、国内需要向けとして、宮内省によって優れた一流作家たち(帝室技芸員)には栄誉が与えられ、さらなる技術発展を目指す動きもありました。

帝室技芸員として選ばれたのは、画家、彫刻家、金工、陶工、漆工、刀工など多岐にわたり、以前このブログでも紹介した七宝家の並河靖之も名を連ねています。

華麗なる超絶技巧、並河靖之以前ご紹介した謎の牙彫師、安藤緑山。 安藤緑山と同じ時代に、やはり超絶技巧で美しい七宝の世界を創りあげた作家がいます。 日本を代表する七宝家の並河靖之(なみかわ やすゆき、1845〜1927年)です。透明感のある漆黒の背景に、日本の美の表現の象徴でもある花鳥風月が色鮮やかな色彩で描かれていて、思わず息を飲む美しさです。「藤図花瓶」京都国立近代美術館 「藤花菊唐草文飾壺」出展:清水三年坂美術館並河靖之の七宝が超絶技巧と呼ばれる理由 その1七宝の持つ従来の美しさはもちろんのこと...

明治後期

しかし急速に進む欧米化への意識は、日本の伝統美術品よりも、印象派の絵画や西洋の骨董品などに価値をおくように変わっていきます。

幕末から明治期の優れた美術工芸品への日本人による評価は外国人ほど高くなく、優れた名品はどんどん海外に流れていってしまったのです。

優れた作品が国内に残されていないことによって、さらに日本の伝統美術工芸品離れに拍車がかかり、日本の伝統工芸技術は衰退の一途をたどり、今に至るのです。

村田氏は優れた名品を海外から数多く買い戻し、幕末から明治というもっとも高い水準の伝統美術工芸品を、多くの人が目にすることができるようにと、清水三年坂美術館を設立したのです。

 

清水三年坂美術館のご案内

清水三年坂美術館2

清水三年坂美術館では、宮内省(現在の宮内庁)はじめ、国内の数寄者向けに作られた一級の作品、貿易用に作られたものの中でも美術品としての価値が高いものが展示されています。

1F 常設展示室・ミュージアムショップ
蒔絵、金工、七宝、京薩摩焼の展示。
技法についての説明パネルや道具などの関連資料なども展示されています。
※一年で中身が全部入れ替わるよう、随時展示を少しずつ替えているそうです。

ミュージアムショップでは、関連書籍や貯蔵美術品のポストカードなどのオリジナルグッズ、シルクロードの工芸品などが販売されています。

2F 特別展示室
企画展示スペースで、3か月ごとに展示品が変わります。

清水三年坂美術館のすぐ近くには、油とり紙で有名な「よーじや 清水産寧坂店」など小売店や飲食店も並んでいますので、付近を歩かれたことがある方もいらしゃるのではないでしょうか?
そのひっそりとしたたたずまいから、この美術館には立ち寄ることなく通り過ぎてしまう方が多いかもしれません。

でも、次に京都を訪れるときには、日本の古くからの伝統美術工芸品を堪能できる清水三年坂美術館へ、ぜひ立ち寄ってみてくださいね!

最後に創立者の村田氏の美術館設立にかけた夢を。

いつの日か明治を越える蒔絵、七宝、金工等の作品が作られるようになる日が来るのが私の夢です。
その為にもアーティストを目指す人達が当美術館にもっともっと足を運んでくれることを願っています。

清水三年坂美術館 

http://www.sannenzaka-museum.co.jp

京都市東山区清水寺門前産寧坂北入清水三丁目337-1
TEL:075-532-4270

たくさんの美術品の写真がポストカードなどとしてオンラインショップで販売されています。
京都にはなかなか行けないという方でも、様々な作品のポストカードや書籍などを手に入れることができます。

美術館を訪れる前に、こちらのHPで所蔵美術品を写真でチェックしておけば訪れる楽しみがさらに膨らみそうですね!

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ABOUTこの記事をかいた人

京繍(きょうぬい)と言う日本刺繍に魅了され、日本刺繍でいろいろなものを創っている日本刺繍の人フローレンです。 夢はNYで個展をすること! やりたいって思ったことはとにかくやってみます。 美味しいもの、お酒大好き。 海も大好き。 旅も大好き。(本名:花澤浩子)