ここまですごい明治の超絶技巧!並河靖之の七宝の世界

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華麗なる超絶技巧、並河靖之

以前ご紹介した謎の牙彫師、安藤緑山

安藤緑山の超絶技巧の世界大正から昭和初期にかけて、後世に残るような優れた芸術品が日本でいくつも生まれています。その中でも「超絶技巧」と呼ばれる驚きの匠の技で作品を作り上げた、安藤緑山(あんどうろくざん)という彫刻家をご存知ですか?この作品をご覧になっていただければ、その超越した技術のすごさを一目で感じてもらえると思います。「竹の子、梅」出展:清水三年坂美術館細部にわたるまで本物の竹の子と見間違えてしまうほどの繊細さで作られている、まるで写真のようなこの作品。 いったい何で作られているのかわかりま...

安藤緑山と同じ時代に、やはり超絶技巧で美しい七宝の世界を創りあげた作家がいます。
日本を代表する七宝家の並河靖之(なみかわ やすゆき、1845〜1927年)です。

透明感のある漆黒の背景に、日本の美の表現の象徴でもある花鳥風月が色鮮やかな色彩で描かれていて、思わず息を飲む美しさです。

「藤図花瓶」高17.1cm「藤図花瓶」京都国立近代美術館

 

「花文飾り壷」高12.0cm「藤花菊唐草文飾壺」出展:清水三年坂美術館

並河靖之の七宝が超絶技巧と呼ばれる理由 その1

七宝の持つ従来の美しさはもちろんのこと、その筆使いや色の表現の繊細さには特に目を見張らずにはいられません!
というのも並河靖之の七宝作品の多くは、小さな面積の中にこれだけ凝った図案が描かれているのです!!

先ほど紹介した「藤図花瓶」は17.1cm、「花紋飾り壷」は12cm!
どちらもペットボトルよりも小さいのです!

この独特な空間美を醸し出す繊細な図案と美しい色彩が、こんなに小さな面積に表現されているということに、本当に驚きました。

並河靖之の七宝が超絶技巧と呼ばれる理由 その2

「菊花文飾り壷-二種」高9.0cm「菊花文飾壺」出展:清水三年坂美術館

並河靖之の七宝は有線七宝という技法で描かれています。
模様を銀の線で囲み、その内側に釉薬を塗り、色を焼き付けていくという手法です。

釉薬(ゆうやく・うわぐすり)とは、わかりやすく言うと、陶芸などで使う仕上げ剤。
それを塗って焼くと光沢が出て耐水性が出るガラス質の部分です。
それを塗らずに焼くのが素焼きですね。

七宝は、この釉薬の中の鉱物の化学反応により様々な色を表現していきます。
並河靖之は色の表現にとてもこだわりを持っていたと言われていて、模様の部分に目を凝らすと絶妙なグラデーションが表現されているのがわかるのですが、これは少しずつ釉薬を塗り、何度も焼きを重ねながらこの色を出すのだそうです。

一か所の色を表現するのに明度の異なる15種類もの釉薬を使用したという記録も残っているのだとか。

また、主に並河作品は美しく滑らかな漆黒の背景が印象的なものが多いのですが、これは黒色透明釉と呼ばれています。
それまでの七宝では使われていない並河靖之による発明で、ムラもなく均一にこの色を表現することはとても難しいと言われているそうです。

明治時代に完成度が高まった日本伝統美術工芸

「蝶図瓢形花瓶」高18.0cm「蝶図瓢形花瓶」出展:清水三年坂美術館

明治時代は、日本の優れた技巧による美術品が世界に注目された時代でもありました。

日本政府は西洋文化からの遅れを取り戻すために、海外の産業を多く取り入れると同時に、外貨獲得手段の一環として、日本の伝統的な美術工芸品を輸出することも奨励していました。

並河靖之自身は何度かの挫折を味わいながらも、明治20年代にはその精緻な細工や色彩感覚、構図の美しさなどを極め、パリ万博などで数々の賞を受賞、国内外の博覧会での受賞は31回にも及ぶのだそうです。

ひとつの作品を仕上げるのに半年から一年と、一つ一つにとても手間と時間をかけていることと、このような時代背景から、並河靖之の優れた七宝作品は、海外に渡ってしまったものが多く、日本にはあまり残されていませんでした。

近年になり、明治初期の優れた伝統美術工芸品のすばらしさを再認識する動きもあり、清水三年坂美術館では並河七宝作品をはじめ、この時代の伝統工芸品を海外から買い戻しました。

そのおかげもあり、私たちはまとまった数の優れた作品を見ることができるようになったというわけです。

並河靖之七宝記念館も必見

Namikawa cloisonne museum of kyoto出展:ウィキペディア

京都に行ったなら、清水三年坂美術館だけでなく並河靖之七宝記念館にも、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。
ここには並河靖之が残した130点余りの作品が所蔵されています。

こちらは並河靖之の邸宅兼店舗、工房として明治20年代に作られた建物です。
明治期の代表的な京町屋の表屋(おもてや)造りで建てられ、国の登録有形文化財にも登録されています。

海外でも七宝=Namikawaと称されるほど評価が高く、外国人が直接店に買い付けに来ることもあったことから、背の高い外国人を迎えるのにふさわしい家にしようと建てられたことが発端だったとか。

やはりパリ万博での「巴里庭」の受賞で注目されることとなる七代目・小川治兵衛が手がけた庭園も見事で、初めて個人邸に水を引いて造った庭は、緑と水の調和がとても美しく必見です。

並河靖之七宝記念館は、四季折々の庭園の美しさはもちろんのこと、テーマに沿った特別展なども開催されているので、訪れるたびに新たな感動が味わうことができると思います。

並河靖之七宝記念館 アクセス

京都市東山区三条通北裏白川筋東入堀池町388 

●地下鉄東西線東山駅下車1番出口より徒歩3分
●JR・近鉄京都駅前(A1のりば)、阪急烏丸駅・河原町駅、京阪三条駅から
   市バス5系統岩倉行きで「東山三条」又は「神宮道」下車徒歩5分
●市バス201、202、203、206系統で「東山三条」下車徒歩5分

TEL:075-752-3277
休館日:毎週月曜日・木曜日(祝日の場合は翌日に振替)

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京繍(きょうぬい)と言う日本刺繍に魅了され、日本刺繍でいろいろなものを創っている日本刺繍の人フローレンです。 夢はNYで個展をすること! やりたいって思ったことはとにかくやってみます。 美味しいもの、お酒大好き。 海も大好き。 旅も大好き。(本名:花澤浩子)