初めて帯に刺繍した作品
この鉄線唐草(てっせんからくさ)の名古屋帯は、京繍(きょうぬい)を学び始めて1年ちょっとの時に、初めて帯に刺繍した作品です。
塩瀬の白生地を紺色に染めて、金彩で淡くぼかしを入れてあります。
鉄線の花と唐草を組み合わせたモダンなデザインです。
繊細なグラデーションと菅繍
大胆なデザインの花びらの色を微妙に変えて、綺麗なグラデーションになるようにしました。
匂い(おしべとめしべの部分)の丸い部分に結構苦労したことを覚えています。
実は日本刺繍では『丸◯』を綺麗に丸くなるように刺繍するのはなかなか難しいのです。
唐草の部分は金糸を使い、「菅繍(すがぬい)」という繍方をしています。
生地は縦糸と横糸を組み合わせて織って作られます。
帯地などの反物を扱うときに、その横糸の方向を“地の目”といいます。
菅繍は、その地の目にまっすぐ糸を引いたら、別の細い糸で2〜3mm間隔でとじて押さえていく繍方です。
この帯の菅繍は、地の目の一目おきに糸を引いていく、一目飛ばしにしてあります。
表現の方法に菅繍を使うと、とても洗練されて品の良い作品に仕上がります。
なので、菅繍は大好きな繍方の一つなのです。
デザイン的には大好きなのですが
実際に刺繍するのはかなり大変💦💦
菅繍は上記の説明の通り、とても繊細な技法を求められる繍方なのです。
地の目に糸を引いている時は、スイスイ進んでとっても楽しい♡
……でも…糸を引き終わると、ひたすら2〜3mmでとじ押さえていく作業が延々と続くのです。
この帯のお太鼓の刺繍も、唐草部分のとじにかなりの時間を費やしました。
私はこの菅繍のとじが今でも好きではないのですが、中にはそんなに嫌いじゃないとおっしゃる方もいらっしゃいますし、人それぞれですね。
とにかく菅繍はこのように手間がかかるので、手刺繍の帯や着物で菅繍が使われていたら、とても高価なものになるということには間違いありません!
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