この記事の目次
日本刺繍をご存知ですか?
実は今、個展に向けて作品制作の真っ最中なのです。
何の作品を作っているのかと言うと…
「日本刺繍」です!
みなさんは日本刺繍をご存知ですか?
刺繍と言うと丸い木枠に生地を挟んで、片手で木枠を持って木綿の糸で刺繍をする、フランス刺繍やクロスステッチが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか?
日本刺繍はそういった欧米の刺繍とは全然違うのです。
これから少しずつ、日本刺繍についてお話ししていきますね。
絹糸で描くアート、日本刺繍
私が学んでいる日本刺繍は、「京繍(きょうぬい)」という京都の伝統工芸です。
京繍の魅力は、何と言ってもその品の良い色彩の美しさ!
絹糸の優しい光沢と輝く色の美しさに、一目で魅了されてしまいました!
この写真は、私が初めて帯に刺繍した作品で、「鉄線唐草(てっせんからくさ)」の名古屋帯です。
微妙に違う繊細な色の絹糸は、繍方はもちろん、糸の太さ、刺繍する生地の地色の反射などによって、様々な表情を見せてくれます。
日本刺繍は一本の針から生まれる絹糸で描かれたアートなのです。
日本刺繍の歴史
「天寿国曼荼羅繍帳」出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)
日本最古の刺繍工芸品は、飛鳥時代に作られて奈良県の中宮寺に伝わる国宝の〈天寿国曼荼羅繡帳〉(てんじゅこくまんだらしゅうちょう)です。
日本刺繍はその後、平安時代には貴族の衣服の装飾に活用され、桃山時代には芸能装束に用いられました。
江戸時代には小袖や打掛、寺社装飾の打敷に需要が多く、また刺繍の掛袱紗は嫁入り道具に欠かせないものでした。
このように、日本刺繍は和装文化の装飾として発展してきたのです。
日本刺繍はどこで見ることができるの?
この素晴らしく繊細な日本の伝統技術である日本刺繍。
それなのになぜ、日本刺繍を知らない人が多いのでしょう?
それは、私たちの生活様式の変化が最大の理由です。
明治から昭和の初期にはたくさんの職人さんがいました。
しかし、現在のように「和装離れ」で着物の需要そのものが激減してしまいました。
また伝統産業の高齢化に伴い廃業する刺繍屋さんが増え、その技術を後世に伝えることも難しくなってきています。
そのため、日本刺繍を私達が目にする機会もどんどん減っていってしまったのです。
江戸時代の小袖などは、美術館の企画展などで見ることができますが、現代の日本刺繍作品となると、やはり呉服屋さんということになります。
しかも、手刺繍の着物や帯はとても高価なので、店頭でもなかなか見ることは難しいと思います。
呉服屋さんで通常店頭に並んでいる着物の刺繍は、まず間違いなくミシン刺繍です。
日本の伝統文化でありながら、目にするチャンスがとても少ないというのが、今の日本刺繍の現状なのです。
とても悲しいことですが、これでは日本人なのに日本刺繍を知らなくても仕方ありませんよね…
日本刺繍の魅力を知ってもらうために…
日本刺繍を実際にご覧になっていただけるように、個展の準備をしています。
といっても、着物や帯の作品はありません。
着物を着ない方でも、日常使いしていただけるような和小物の作品展です。
「懐紙入れ」と「数寄屋袋」についてはこちらの記事をご覧になってみてくださいね。
日本刺繍を一つのアートとして日々の生活の中に取り入れて、楽しんでもらえたら…
そんな想いを込めて日々チクチクしています。
日本刺繍を少しでも多くの方に知っていただける機会になれば、本当にうれしいです!
「日本刺繍 花澤浩子展 ~絹糸が紡ぐ物語~」
会期:2016年10月6日(木)~10月11日(火)
10:00~20:00〈※最終日は午後4時閉場〉
会場:京王百貨店 新宿店 6階 茶室「京翔」
住所:〒160-8321
東京都新宿区西新宿1丁目1番4号
電話:03(5321)5302(直通)
美術工芸 千華 - びじゅつこうげい ちか –
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