絹糸がもたらす癒しの時間《ブログチャレンジ20日目》

スポンサーリンク

大好きな色出し作業

日本刺繍の制作過程で好きなところはたくさんあるのですが、中でも一番好きな作業は『色出し』です。
『色出し』はその名のとおり、刺繍に使う糸の色を選び出す作業です。

日本刺繍は針で絵を描きます。

あたり前のことですが、日本刺繍に絵の具はありません。
絵の具の変わりに染めた絹糸があります。
絵の具のように自由に色を混ぜて好きな色を作れるわけではないので、イメージにぴったりの色の絹糸を見つけ出さなければなりません。

そのための作業が『色出し』なのです。

日本刺繍に使う絹糸は1,000色以上、3,000色あるとも言われています。

藤色
薄緑

もも
濃い紫

この4色の生地の上にあるピンクの絹糸は全部同じ色の絹糸です。
同じ色の絹糸でも、生地の地色によって違う色に見えたりします。
そして絹糸自体も釜糸と呼ばれる平糸の状態と、撚り(より)をかけた撚り糸の状態とでは微妙に色がかわります。
撚り糸の方が若干色が濃くなる感じです。
(釜糸と撚り糸についてはこちらを読んで見てくださいね
日本刺繍とすごいフェスのこと《ブログチャレンジ15日目》

これらのことを踏まえながら刺繍に使う絹糸を選んでいきます。

ピンク系糸

ピンク系の絹糸をちょっと並べただけでもこれだけあります。
実際にはこの倍くらいあるかも

これだけピンク系の絹糸があっても、ほしい色が無いなんてことはしょっちゅうです。

色出し

そうすると、新しいピンクの絹糸を手に入れてという感じで気がついたらいつの間にか、こんなにたくさんの糸が集まってしまいました💦💦

絹糸が持つ癒しの力

生地の上の糸

この写真のように生地の上に実際に絹糸を置いてみて使う糸を決めていきます。

この時が何ともいえない幸せな時間。
癒しの時間なのです。

日本刺繍をしていて、よく言われることがあります。

「そんな細かい作業で肩が凝るでしょう」

確かに日本刺繍はとても繊細で、細かい技術の繰り返しです。
そのためほとんどの方が、日本刺繍をしていると肩が凝るって思われるのですよね。

ところが私は日本刺繍をしていてもほとんど肩が凝りません。
あまり好きではない繍い方が続く時は凝りますけれど(笑)
これはもしかして私だけなのかもと思ったので、お教室の生徒さんやワークショップに参加してくださったみなさんに、日本刺繍をしてみて肩が凝ったかを聞いてみました。

するとみなさん、

「あれ、そういえば全然肩が凝っていない!」
「なんかスッキリしているかも」

と、ものすごく驚かれたご様子でおっしゃいます。

そうなのです、日本刺繍は肩が凝るどころか、日頃の疲れを癒してくれるのです。

日本刺繍のいろいろな特性で癒されるのだと思いますが、中でも一番の理由は絹糸の力だと思います。

私はPCで作業をしている時のほうが、30分もしないうちに首と肩がガチガチになってしまいます。
姿勢とかの問題ではありません。
日本刺繍をしている時のほうが、体をねじってよっぽど不自然な姿勢になりますもの(笑)

PCやスマホやTVの自然界にはない人工的な光の色が目をとても疲れさせるのだと思います。

日本刺繍で使う材料は絹の生地と絹の糸。
その天然の絹糸が持つ優しく美しい輝きを見ることで、私たちの目に癒しをもたらしてくれるのです。

美しい自然を眺めていると癒されてリラックスできますよね。
それに似た感じの癒しを美しい色彩の絹糸がもたらしてくれるのです。
自然の持つ力って本当にすごいと思います。

だから『色出し』作業が大好きなのです。
美しい色彩の絹糸をいくらでも見続けていられます。
いつまでもこの美しい絹糸に囲まれていたくなる色出し作業は、私にはとっておきの極上の癒しの時間
そして気がつくとあっという間に時間が過ぎているのです。

楽しすぎて絹糸をたくさん広げすぎると、後片づけが大変なのですけれどね💦

スポンサーリンク

優しいクラス開講


【花の日本刺繍教室】

本物の日本刺繍をしっかり学びたい人と気軽に学びたい人へ

日本刺繍の中でも国から伝統工芸として認められているものは、京都の「京繍」と金沢の「加賀繍」だけ。

“繍い”という技には繍う人の心があらわれます。
日本刺繍の最高峰『京繍』の技術を学びながら、技だけではなく作り上げることの喜びも一緒に学びましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

京繍(きょうぬい)と言う日本刺繍に魅了され、日本刺繍でいろいろなものを創っている日本刺繍の人フローレンです。 夢はNYで個展をすること! やりたいって思ったことはとにかくやってみます。 美味しいもの、お酒大好き。 海も大好き。 旅も大好き。(本名:花澤浩子)